法律相談所 たいとう

解決事例
子ども・障がい者・高齢者

福祉職・行政と連携してひとり身の高齢者の生活環境を整えた事例

相談内容

 70代のAさんは,身寄りもなく,借アパートで一人暮らしをしていました。

 デイサービスなどを利用して穏やかに暮らしていましたが,何度か入院し,一人暮らしを続けるのが難しい健康状態になりました。

 Aさんには一定の年金収入がありましたが,数百万円の家賃滞納を含む多額の債務があり,預貯金残高はほとんどありませんでした。Aさんを支援していた福祉職は,退院後に入所できる施設を探しましたが,Aさんの債務状況から「財産管理をしてくれる人がいないと,受け入れられない」と断られ続けていました。

 福祉職は,施設に入所できれば年金の範囲内でやりくりできるけれども,弁護士に財産管理を頼むほどの経済的余裕はない,と悩み,知り合いの弁護士に,「無料で財産管理をやってもらえないか」と持ち掛けました。

受任結果

 話を聞いた弁護士は,Aさんが数百万円もの家賃を滞納していることから,Aさんの判断能力が低下している可能性を考えました。もし,Aさんの判断能力が低下していて,成年後見制度が利用できれば,Aさんには後見人等の費用を自治体が助成する制度(報酬助成制度)が適用される見込みがあり,Aさんの負担なく第三者に財産管理を任せることができます。

 そこで,試しにAさんを医師に受診させたところ,成年後見の3類型のうち「保佐」相当との診断結果が出ました。これをもとに,Aさんの保佐開始の裁判手続きを,Aさんが住んでいるB区の区長申立により進めるよう,行政にも働きかけました。

 結果として,B区長の申立により,Aさんに保佐開始の審判がされ,相談を受けた弁護士が保佐人に就任しました。

 現在,Aさんは,保佐人の支援も受けながら,移転先の施設で穏やかに暮らしています。

本件のポイント

 福祉職の支援,弁護士の知識と経験,行政の支援が一体となって,本人の環境調整ができたケースです。支援の輪が一つ欠けても,本人の環境調整は難しかったかもしれません。

 本人を身近で支える福祉職の方々は,限られた社会資源を本人のためにどう活用していくか,悩まれることも多いと思います。

 当事務所は,福祉と司法のプラットフォームとして,知識や経験を総動員して,ご本人を支援するチームの一員になりたいと考えています。

 まずはお気軽にご相談ください。