法律相談所 たいとう

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【寄稿】週刊教育資料に、佐藤弁護士が、教育問題法律相談「校庭の遊具の安全性に関する指針」を寄稿しました。

週刊教育資料No1342に、弁護士佐藤香代が担当しているコラム、教育問題法律相談「校庭の遊具の安全性に関する指針」が掲載されました。

(質問)

小学校の校長です。児童が校庭の遊具で遊んでいて、ケガをしたという事態を受けて、改めて校庭内にある遊具について、一斉点検を実施しようと思っています。その際、どのような視点で点検をするべきか、参考となる基準はありますか。

(回答)

学校が遊具等の安全性を検討する上で参考とするべき指針として、国土交通省が発表した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂第2版)」(平成26年6月)があります。

この指針が最初に公表された際には、文部科学省も、学校に設置されている遊具の事故防止対策に活用するように依頼しており(平成14年11月11日「学校に設置している遊具の安全確保について(依頼)」)、学校における遊具の維持管理においても、参考となる指針と言えます。

この指針の中では、子どもの遊びの特徴として「子どもが遊びを通して冒険や挑戦をすることは自然な行為であり、子どもは予期しない遊びをすることがある。」、「子どもは、ある程度の危険性を内在している遊びに惹かれ、こうした遊びに挑戦することにより自己の心身の能力を高めてゆく」、「子どもの発育発達段階によって、遊びに対するニーズや求める冒険、危険に関する予知能力や事故の回避能力の違いがみられる」(1.子どもの遊び 1-2)、「子どもは、さまざまな遊び方を思いつくものであり、遊具を本来の目的とは異なる遊びに用いることもある」(同1-3)としています。

こうした前提の下、この指針では、子どもの遊びの中で生じる危険性を、

①子ども自身の冒険心や挑戦しようとする心が求める危険性、あるいは、子どもがどのように対処すればよいのか判断可能な危険性である「リスク」と、

②思わぬ事故につながる危険性、あるいは、子どもがどのように対処すればよいのか判断不可能な危険性である「ハザード」 に区別した上で検討するように求めています(2.子どもの遊びにおける危険性と事故 2-1)。このうち、②の「ハザード」については、さらに、遊具の構造、施工、維持管理の不備などの「物的ハザード」と、利用者側の不適切な行動や服装などによる「人的ハザード」とに区別されるとしています。

そして、管理者に求められる安全確保の基本的な考え方としては、①「リスク」は適切に管理すること、②重大な死傷結果をもたらしうる「物的ハザード」を中心に除去を進めること、③「人的ハザード」については、子ども・保護者等との連携により除去に努めることとされています。

したがって、遊具の点検の際に、主として学校が取り組むべき課題は、「物的ハザード」の除去となります。なお、人的ハザードは、遊具の利用者である子ども側の自主的な回避を基本としますが、子どもの危険な行動や服装などによる影響が著しい場合には、掲示などにより、注意喚起をすることが求められます。