法律情報:リベンジポルノ防止法の概要について
1 法律の制定された背景
今や誰もがスマートフォンを持ち歩く時代になりました。スマートフォンは、撮影した画像や動画を一瞬で、インターネット上に公開できます。
そのような中、昨今、離婚した元配偶者や元交際相手のプライベートな画像をインターネットに流出させる、いわゆる「リベンジポルノ」と呼ばれる嫌がらせが、社会問題になっています。
ひとたび写真や動画がインターネット上に流出・拡散してしまうと、その削除は困難で、半永久的にインターネット上に存在し続けることにもなりかねません。
そこで、こうした「リベンジポルノ」による被害を防止するための、新たな法律である「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」が成立しました(2014年11月19日成立)。
2 この法律の主な内容
(1)罰則規定の制定
この法律では、(1)第三者が撮影対象者を特定できる方法で、(2)個人的に撮影した性交や性交類似行為、性器等が写っている画像記録を、(3)インターネットに公開、あるいは不特定多数に提供した場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになりました(公表罪)。
ただし、撮影対象者が18歳未満の場合には、いわゆる児童ポルノ法によって、児童を対象とするポルノ画像をインターネット上に公開する行為に対する罰則が既に設けられており、しかも、その刑罰は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金とされています。
また、こうした画像を拡散させる目的で特定の人に提供した場合は、1年以下の懲役、または30万円以下の罰金を科すとしています(公表目的提供罪)。
(2)画像削除に関する、プロバイダ責任制限法の特例
現状のプロバイダ責任制限法では、インターネット上の画像について、プロバイダが被害者から削除の申し出を受けた場合、発信者に対して削除に同意するかどうかを照会し、7日を経過しても反論がなければ削除できると定められています(プロバイダ責任制限法3条2項2号参照)。
しかし、被害の拡大を防ぐためには、削除できるまでの期間をなるべく短くする必要があり、リベンジポルノに関しては、この期間を2日に短縮することとされました。
(3)支援体制の整備、教育及び啓発
この法律は、国や地方自治体に対して、被害者が告訴などを行いやすくするために必要な体制の充実や、削除の申し出先・方法等についての広報活動の充実、相談対応体制の整備など、被害者を支援するための措置を講じることを求めています。
また、この法律では、国や地方自治体に対して、被害の発生を未然に防止するための教育活動及び啓発活動を充実させることも求めています。